意見を聞く勇気と言う勇気
                                                              平成30年1月25日
                                                                               
 仮想通貨取引所大手のコインチェックから約580億円相当の仮想通貨が流出した問題によるニュースが毎日のように流れています。セキュリティーが甘かったために、外部からの進入を許してしまった事により、580億円ものお金が取られたのことです。
 テレビの中ではコインチェックの社長が頭を下げているシーンが何度も流れています。確かに人の財産を管理する会社ですから、相当の責任を負うべきなのでしょう。
 ただ、この会社だけが悪かった言えばそうではないはずです。本来であればこれを盗んだ犯人の方が悪く、しかも仮想通貨自体も怪しいものだと思われています。テレビや新聞は大勢の方へ発信しますので、適切な内容を伝えていると思いますが、その伝え方によっては間違って伝わって行くこともあります。この伝わって行くチカラは、簡単には止める事ができず、何かしらの得体の知れないチカラの一つなのでしょうか。

 昨年の4月より、私の住んでいる町内会の役員をさせて頂いております。町内のお祭りごとや、先月行われました成人式などを担当しております。町内会の集まりにも、古くから役を勤めてみえる方おり、その方の指示の基に運営が進められていきます。
 町内会の仕事ですから、雇用関係があるわけではありませんので、まぁまぁと言っていれば過ぎてしまうことが多くあります。しかし、10年以上前から関わっている方もいれば、私のように今年初めて役を受ける方もみえ、また様々な経験を得ている人がいますので、そこでの意見の食い違いはどうしても出て来るものです。しかし、結果として長くその組織に関わった人の意見の方で収まる事がほとんどでしょう。
 人の集まりには、得体の知れないチカラが働きます。新たに物事を変えようとするとき、そこには必ず変える事が出来ない雰囲気という『見えないチカラ』が働きます。このチカラは強力なチカラで集まった人の数に比例して、多ければ多いほどチカラが強くなります。例えば良くない例として、いじめ問題もこの一つではないでしょうか。人がいじめられている事が分かっても、その姿をただ見ているだけで、直接にはいじめてはいないかもしれないけれど、だからといってこれを止めようとせず、見て見ぬふりをしてしまう。これも多数の中から生まれてしまうチカラの一つではないでしょうか。

 見えないチカラの恐ろしさは誰でも知っていることでしょう。そのため自分の意見を言わないようにし、指示待ち人間だけが増えていくのです。これで本当に良いのでしょうか。
 今私達が生活をしている日本は、独裁者がいるわけでもなく、表現の自由も有り、仲間内で集まる事も許されています。ですから、多数の意見にとらわれるのではなく、少数の意見であっても、そこに耳を傾け、皆で話し会うことが大切なのです。
 優れたリーダーほど様々な意見に耳を傾けます。しかし、どんなにリーダーが優れていても、意見を言う人がいなければ問題は解決しません。集団の中で、自分のことは自分で決める心の独立は大切な事です。心の独立は、リーダーの指示を無視することではありません。リーダーに自分の意見を伝える事を言います。人に意見を言うには勇気が必要です。しかしその勇気が自分やその周りを良い方向へと導くものです。