自ら仕事を減らしている
                                                                   平成24年8月25日
 
 日本全体の不景気感はまだまだ続いているようです。仕事が無くなると、不景気になるのか、不景気になると仕事が無くなるのか どちらが先なのかは分かりませんが、仕事の量と不景気感は密接につながっているようです。

 では本当に仕事が少なくなっていくのでしょうか。
 松下幸之助の話の中に、次の言葉があります。
「この頃の不景気で仕事がないと言うけれども、今後百年の日本というものを考えてみると、その間に日本の建物という建物はほとんどつくり替えなければならなくなるだろう。(中略)ところがそういう見方をせずに、自ら仕事がないようにし、不景気にしているのが、いまの日本の実情ではないだろうか。」
 発想の転換をすれば、無限に仕事があることを知らなければならない。

 道を歩いているときにゴミが落ちている。明らかに世の中のためには、ゴミを拾った方が良い。そこで、このゴミを拾い集める。これが、仕事の始まりです。商売人がいてお客がいる。このことを当たり前に考えすぎてしまい、仕事の始まりを忘れている人がいます。仕事は、お客がいなくても、世の中に沢山落ちているものです。

 もう一つ知っておかなければいけないことが、求められる仕事は環境によって変化をする事です。世の中は創意と工夫の中で動き流れていますので、何も考えず同じ事を繰り返していては、必ず仕事は減るのです。しかし、世の中から仕事が減っていると勘違いをしてはいけません。求められる仕事が変化していっているだけなのです。
 しかし、求められる仕事は見つけにくいのが悩みです。「ここですよ」と印がついていれば分かりやすいのですが、簡単にいかないのが現実です。
 また、中小企業は流行を追いかけて、痛い目に合うことが多いようです。釣りに行くのに、魚を求めて、先ずは魚のいる池の情報を聞いて魚のいる池を探す。そして、その池を見つけたら糸を垂らす。釣れたな思ったら、隣から大きな網で魚を全部持って行かれてしまう。流行を追いかけていたら、その流行で大企業が儲ける。これが資本主義の仕組みです。ではどうすれば良いのか。答えは中小企業の最大の悩みの中にあります。それは、人件費です。この人件費を逆に考えれば、無限の可能性を秘めた人間力です。人が一人一人考えて仕事をすれば、機械化に頼った経営には到底マネの出来ない仕事が出来る。それが、昔から伝わってきた日本人の仕事です。
 
 発想の転換から、無限に仕事は有ることを知り、そして、流行を追いかけるのではなく、流行を生み出す。そんな新たに生まれる仕事を楽しむ経営をする事が、中小企業の経営者に求められる仕事なのです。