青春とは
                                                            平成27年11月25日

 平和で豊かな土地に住み、何も不自由の無いこの国で生活をしていますと、これがあたかも当たり前の生活となってしまいます。でも、世界のニュースを目にしますと、これは当たり前ではなく、この国に生まれたことだけで、とてもめぐまれた環境を手に入れた人間であることが分かります。
 偶然この国に生まれただけで、身の安全が保証され、食べるものに困らないことに感謝しています。

 しかし、そんな物にあふれた国に生まれた私達が、いつしか心を失い、生きる目的もないまま仕事をし、給料をもらい、食事をしているとしたならば、本当にそれが人として生きているといえるのでしょうか。
 これではただ一度しかない人生を無駄にしているのかもしれません。

 戦争で、物が足りず、病院へも簡単に行くことができない時代に、ある詩が話題となったそうです。
 それは第二次世界大戦の終戦後、1945年9月27日に昭和天皇が,日比谷の占領軍総司令部にマッカーサー元帥を訪問し、天皇が始めて民間人と並んでツーショット写真を撮られた部屋の壁に掛けられていた詩が、次の青春の詩(現物は英文)です。

 青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心,こう言う様相を青春と言うのだ。年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。
 歳月は皮膚のしわを増すが情熱を失う時に精神はしぼむ。苦悶や、狐疑、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰も長年月の如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう。年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。曰く「驚異えの愛慕心」空にひらめく星晨、その輝きにも似たる事物や思想の対する欽迎、事に處する剛毅な挑戦、小児の如く求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と興味。

人は信念と共に若く  疑惑と共に老ゆる
人は自信と共に若く  恐怖と共に老ゆる
希望ある限り若く   失望と共に老い朽ちる
                                    (John W.Lewis氏コーネル大学教授)

 青春と言われますと、何か恥ずかしい気持ちにもなりますが、人間が人として生きていると感じる気持ちとは、この青春の心を持ち続ける事なのかもしれません。何の目的も無くただ仕事をし食事をしているとしたならば、それは動物が餌を食べているのと何ら変わりません。
 これからの人生を豊かにするためにも、是非青春を取り戻そうではありませんか。