現場を見て、見ず
                                                                                平成27年2月25日

 作業着の法則と言う言葉をご存知でしょうか。
 「いつも作業着を着て現場から離れることができず、現場の仕事に追われている人には投資をするな」
と言う意味だそうです。経営者が毎日の仕事に追われ、将来設計をせず目の前にある仕事だけを見て、根本的な問題解決をせずにいれば、必ず企業は倒産してしまいます。だから、現場から離れる事が出来ない経営者は、今すぐにでもこれを改めなければならないそうです。

 それに対して、「答えは現場にあり。」
 優秀な経営者は、現場に足を運ぶことを何よりも大切にしています。 現場に行き、問題点を確かめ、話し合い、実行し、それを確認します。改善策を考え出すことは、現場を知らない人には出来るはずがありません。アイデアは、頭の中で突発的に生まれるものではなく、実際に見て聞いて触れて、体で学ぶ事から生まれてきます。頭の中で思い描くだけではなく「実感でつかむ力」を鍛えることによって思考能力はより研ぎ澄まされるのです。

 この「作業着の法則」と「答えは現場にあり」の2つの言葉は言葉だけを捉えれば矛盾しています。矛盾をしているのに誰もがこの事を大切にし、矛盾の間に挟まれて経営をしています。
 そして、偉大な経営者は、答え無き矛盾を上手に使い、それはまるで矛盾では無いかのごとく適切な判断をし、企業を成長へと導いていきます。

 しかし、これを私は上手く腹に落とすことが出来ず、どちらかというと現場主義の方に偏ってしまいます。お客様との会話や、問題点となる場所の事実確認など、自分で見て聞いて感じることに時間を使っていますから、駄目なんでしょうね。
 「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ。」と言う名台詞もあります。現場には目的と、それを完成させた時の達成感がありますから、簡単にはやめられないのです。
 そんな私ですから、常に最前線で仕事をしている人を応援したくなってしまうのです。

 皆さんは、どちらを選びますか。間違えてはいけないのは、どちらが正しいというわけではないということです。どちらも正しければ、どちらも間違っているのです。その時と場合に応じて、常に選択ができるようにしておかなければならないという事です。
 しかし、私のように現場主義の経営者では、すぐに限界が来る事も身をもって理解しています。やはり、どちらに偏るのではなく、常に両方の目線を持って事に当たらなければならないのでしょう。
 現場だけを見ていれば、狭い世界しか見えませんし、現場を見ずにいれば、人はついてこないものです。