忍耐を育てる
                                                                             平成27年4月25日

 私達が何か事を成し遂げようとするとき、必ず思うようにいかないことがほとんどです。特に大仕事を成し遂げようとするときには、さらに大きな試練が待ちかまえているのですから、心が折れそうになることを皆さんも体験しているのではないでしょうか。

 中国の孟子の言葉ですが、
 天の将に大任を是の人に降さんとするや、必ず先づ其の心志を苦しめ、其の筋骨を労し、 その体膚を餓やし、其の身を空乏し、行ひ其の為すところに払乱せしむ。
 心を動かし、性を忍び、その能はざる所を曾益せしむる所以なり。

 天が地上の人に大任を下そうとするとき、まずその人の心を苦しめ、肉体を苦労させ、餓えに苦しませ、体を弱らせ、しようとすることをしくじらせる。
 それは人の心をゆさぶって忍耐を育て、それまでできなかったことを、できるようにさせるためである。
 
  経済とは「経世済民」の略語であり、豊かさの物差しは、そこにすむ人たちの心が豊かになり、幸せを感じる事が出来る国づくりをめざすことを願う学問であるはずです。しかし、いつしか物質的な価値が物差しとなり、金銭的評価が高ければ人は豊かであると、間違った表現が、堂々とメディアを通じて発信されるようになっています。
 これでは、国づくりの根幹となる教育は崩壊し、子供たちを教え導く教師さえも物質的な豊かさだけを追い求める様になり、子供たちに何を教えて良いのかわからないでいるのではないでしょうか。

 孟子の言葉にもあります様に、子ども達は夢を見つけなければならい。その夢が自分の果たすべき使命なのです。そして、様々な苦難から、忍耐を育て、それまでできなかったことを、できるようになる。これが、人として成長できる最善の方法なのです。この事は、大人になっても大切にしなければならない事なのです。
 また、岡崎市出身の武将である徳川家康の国づくりは「鳴かぬなら、鳴くまで待とうホトトギス。」と表すように、忍耐の大切さを重視しているのです。だからこそ、250年以上の太平の世を作ることが出来たのではないでしょうか。

 いつも辛いだけで、何も良いことはない。と言う人がいますが、辛ければ辛いほど、その人に任された仕事は大きいのですから、かえってうれしいものだ。と思えるかどうかは分かりませんが、辛い仕事を終えたときの達成感は誰でも知っています。
 辛い仕事をスルリスルリと上手に避けて生きるのではなく、私は不器用ですから、真っ正面からこれに向かってぶつかって行く、だから形はでこぼこになってしまいますが、そんな生き方が私の生き方なんだなと思いました。