努力する者は、未来を語り
                                                            平成28年11月25日

 私はTAC株式会社という資格の学校で、税理士試験の消費税法の講師を9年以上続けております。その講義の一番初めの授業で、必ず伝える事があります。それは、「毎日勉強を続けていても、その成長が、まるで坂道を駆け上がっていくように実感が湧いてくるかといいますと、そんなことはありません。ほとんどの場合が、続けても、続けても成果が上がらず続ける事のむなしさを感じるはずです。ですが、それでも続けて下さい。そうすると、ふとしたときに突然その成果が現れてきます。勉強は坂道を登っているのではありません。階段を上っているように成果が現れてきます。」と話をするのです。
 この経験は私の税理士試験で感じたものでした。税理士試験はそのほとんどが法律を丸暗記する必要があり、丸暗記ができなければ答案を作成することが出来ない仕組みになっておりますから、時間をかけて暗記をする事になるのです。ただこの暗記が私には並大抵の事ではありませんでした。覚えては忘れ、覚えては忘れの繰り返しで、何の達成感もなく終いには丸暗記には意味がないなどと試験制度自体を批判したりもしました。しかしこの覚えては忘れの繰り返しをしているうちに、ふと気づいたときには何とか合格点を超えるようになっていったのです。繰り返しの作業だったのですが、ちゃんと力になっていたのです。これは坂道の成長ではなく階段状の成長なんだと思ったのです。
 
 しかし、この階段状の成長は、決して勉学に限ったものではありません。企業の成長も、必ずこの流れにそって伸びていくのです。階段状の成長は、大変辛いものです。なぜなら、いつかは芽が出ると思い努力を重ねるのですが、いっこうに芽が出ないわけですから、達成感のないまま努力をする事の大変さは皆様もお分かりのことと思います。だからこそ、そのまま努力をし続けることの難しさも同じように知っているのです。

 また、努力をする人の事をこのように表現する方もみえます。
 努力する者は、未来を語り 怠け者は、過去を語る

 間違っても 未来を語る人が努力をしている人であり、過去を語る人が怠け者だと理解しないで下さい。努力を続けている人には、ハッキリとした未来が見えており、これが現実的に話をする事が出来るのだと言っているのだと私は思います。

 私達は成長が上り坂のように、昨日より今日、今日より明日という具合に成果が現れ、一歩一歩前へと進んでいる感じがあると思って、努力を始めるのですが、いざ始めてみると3日経ってもその感じを得られることがない、だから長続きせず止めてしまいます。努力の成果は坂道を登るの様にはいきません、階段を上るように表れてくることを覚えておきましょう。