伝言ゲームの結末

                                                   平成21年10月25日
                                                                                 
 現在、人にものを伝える手段として様々なものが存在します。手紙、電話、FAX、電子メールなど本当に多くの手段によって連絡を取り合っています。しかし、その根本となるものは「文章」です。

 よく子供の頃 ”伝言ゲーム ”をして競い合いました。これはお題である一つの「文章」を先頭の人から順に口頭で伝えていくゲームなのですが、お題の文章が最後の人に伝わる頃には、まるで違う文章になってしまうところがこのゲームのおもしろいところなのです。

 では、なぜ伝言ゲームは最後の人に伝わる間にまるで違う文章になってしまうのでしょうか? その主な理由としては、「人から話された事を理解する力」と「人へ伝える力」が人によって違う為なのです。小さな頃から人の話を聞くようにと、人の話を理解する教育を受けて来ましたが、人に物事を伝える教育はあまりされていないため、結果として全く違う文章が伝わっていってしまうのです。

 しかし、この伝言ゲームの様に全く違う事柄が伝わって行ってしまうことが、現在の複雑な経済取引の中で起こっているとしたら、本当に怖いことです。情報の伝達が新聞紙からホームページに代わってきており、情報伝達技術の革命が叫ばれる現代では、間違った事柄が伝わるのは非常に速く、そして広範囲になっているのです。

 

 この春より専修大学の租税法務学会に参加させていただいております。この学会は、租税の正義を守るために、課税庁側の独断と偏見による法律の解釈を阻止することを目的とし、常に国税局の不服審判所の裁決が正しい裁決かどうか意見を出し合い、その意見論文を毎月「税務弘報」という雑誌に掲載しております。
 法律も文章である限り、先ほどの伝言ゲームと同じように、その人の立場、理解力、知識などによって解釈が変わってきてしまうのです。間違った解釈により、弱い者いじめとならぬようにしなければならないと思っております。

 難しいことを、難しいままの言葉を使って説明することは誰でも出来ます。多くの方により分かり易く簡明に説明するには、よほどの勉強をしなければなりません。私も出来る限りみなさんに分かり易い説明を心がけているつもりでいますが、もし分からない点が有りましたら、いつでも私にご質問ください。皆様の質問から、また新たな発見が出来ることを楽しみにしています。