名脇役の玉ねぎ
                                                            平成28年12月25日

 突然ですが、あなたの好きな食べ物は何ですか?
 日本人が好きな食べ物といえば、寿司、焼き肉、ラーメンなど様々にあると思いますが、おそらく誰もが好きな食べ物の中にカレーライスもあるのではないでしょうか。

 カレーライスはインド料理を元にイギリスで生まれ、日本で独自に変化した料理であるようです。そんなカレーライスですが、皆さんのお家のカレーライスには、どんな具材が入っていますか。それぞれ家庭での味があるのでしょうね。

 カレーライスの話で思い出したのでご紹介します。先日読んだ岡崎市出身の経営コンサルト山崎 将志さんの本の中に、こんな事が書かれていました。
「先日のある週末、妻と『今晩のカレーの具材は何にしようか』と話していて、ふと思いついたことがある。家でのカレーを作るとき、どうしようか悩むのは、ビーフにしようかポークにするか、あるいはチキンにするか、『主役』を何にするかということだ。このとき、肉ならビーフ、ポーク、チキンが主役候補として挙げられるが、『チキンにする』と決定した途端、ビーフとポークは捨てられる。ところが、どの肉にしようとも玉ねぎやじゃがいも、にんじんには需要がある。上手に主役を引き立てて、全体の味を調え、なくてはならない存在として不動の地位を保っている。」

 テレビドラマの様な話かもしれませんが、記憶に残るのは、ほとんどの場合主役の俳優さんです。しかし、実力を持った名脇役は、様々なドラマに出演しています。仕事として考えた場合、名脇役の様にコツコツと続けて出演できるような仕事ほど、ありがたいものはありませんね。

 全ての作業や仕事には理由があります。「私の仕事は機械の歯車の一つだ」と言われる方がみえますが、その歯車が機能しなければ、その機械自体が動かなくなってしまう事を考えなければなりません。歯車にも機械全体から考えれば存在理由があるのです。また、脇役にも理由があり、脇役にしか出来ない仕事が世の中にはあるのです。だからといって脇役に実力は必要ないかと言いますと、そうではありません。カレーライスの中に入っている玉ねぎやじゃがいもも、日々おいしくなる努力を重ねています。主役を光らせるには相当の実力が必要となりますし、人の言いなりになっているだけでは当然役不足です。脇役だからといっても、その演出に必要であるのならば、主体性を持って意見を述べる事が大切ですし、日々の努力を怠っては成り立たないのです。
 そう思いますと、名脇役のように、色々な仕事の依頼が来るような脇役になるにも、何も感じず、そして考えずに人の流れに身を任せて生きていては、仕事の依頼はないのでしょうね。