戦国の世を生きるには
平成29年1月25日
ある物質を広辞苑で調べますと、次の様に書かれています。
「純粋なものは無色・無味・無臭で、常温では液体」「地球上に広く分布し、海洋・氷雪・湖沼・河川・地下水や大気中では水蒸気などとして存在し、自然界を循環する」「動植物体の構成成分としても大きな割合を占め、生命に必要不可欠」「水素と酸素の化合物」
私達の身近に存在し、必要不可欠な物である、「水」を調べてみますと、このように書かれています。誰でも知っている物を文字で説明しますと、ちょっとしたクイズのようになってしまいますね。
水はとても大切なものであり、また身近なものですから、これにまつわる多くの言葉があります。その中でも、戦国時代、豊臣秀吉の知恵袋といわれた黒田官兵衛の言葉である「水五訓」をご紹介します。
自ら活動して他を動かしむるは水なり
水は高いところから低いところへ、自らが動くことで周りのものも動かします。組織運営もこれと同じで、人を動かすのであれば、先ず自らが動くことが大切だと言っています。
常に己の進路を求めて止まざるは水なり
世の中は止まること無く、常に変化し続けます。その中で必ず迷い、そして悩むことがあると思います。しかし、どんなときでも自らの意思で判断し、失敗をしても人のせいにすること無く、自分の責任だと思うことが大切だと言っています。
障害にあい激しくその勢力を百倍し得るは水なり
大きな壁にぶつかり、この先が見えなくなることがあります。そんな時にこそ、じっと我慢をし、来るべき時のために力を蓄える事が大切です。それはまるでダムの決壊の様に大きな力を蓄えることが出来ると言っています。
自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せ容るるは水なり
川は、脇から濁った水が注がれてきても、これを拒むことはありません。さまざまな水が混じり合って一つになります。これが大きな目的を達成するために必要な要素だと言っています。大きな度量を持つ人間にならなければなりません。
洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり 雪と変じ霰と化し凝しては玲瓏たる鏡となりたえるも 其の性を失はざるは水なり
水はどの様な形の容器にも入れることが出来ます。しかし、その本質は変わる事はありません。私達もその本質を変える事無く、時代の変化に柔軟に対応しなければならないことが大切だと言っています。
戦国の世の中で生きていくためには、現代人には想像もつかないほどの人間ドラマがあったのでしょうね。