時代の流れの速さ

                                                   平成22年4月25日
 
 敵を知り、己を知らば、百戦危うからず
 みなさんご存じの言葉だと思います。これは中国の孫子という書物の中の有名な一節です。孫子(そんし)とは、中国春秋時代の思想家である孫武の作とされる兵法書なのですが、その後日本にも伝わり、数多くの軍師達に影響を与えたそうです。
 戦は短期で勝利をしなければならず、長期化した戦に勝っても、国に与える経済的な負担は相当なものであると説いている事からも、孫武の戦争観は、ただ戦に勝つことだけを示しているのではなく、まず国家の繁栄を願っています。すなわち孫子は単なる兵法解説書ではなく、目先の勝利にとらわれることなく、国家運営と戦との関係を示した書物なのです。
 そして、この孫武の考え方が現在の経営者にも普及しております。
 
 勝負に負けて、相撲に勝つ
 この言葉も非常に有名な言葉です。企業に例えるなら「現在の売上にこだわらず、5年10年と経営を続けることこそ、企業の目的である」と言っているのではないでしょうか。利益が出れば何をしても良いと言うわけでもありませんが、会社が正当に商売をしていても、会社が倒産に追い込まれては問題です。将来の展望を考え、目先の売上やコストにこだわるばかりでなく、5年後10年後の未来へ向けて歩むべきなのです。
 経営は海を航海するのと一緒で、四方八方どちらに向かうことも出来ますが、ただ浮いているだけでも、そこへとどまっていることは出来ません。必ずどこかへ流されていってしまいます。そして、海面よりも、海底では海流があり、少しずつ会社が沈んでいくとその海流に一気に流されてしまうのです。

 

 こうして考えますと、会社が現状を維持するだけでも大変な努力が必要です。、必ず情報を収集し、行動しなければ今を維持することが出来ないからです。ただ闇雲に行動するのではなく、どんなことが起きそうなのかを予測しなければならないのです。
 現在、時代の流れが非常に速く進んでいると言われることが多いですが、本当に速いのでしょうか。実は「速い」と言われているのを聞いているだけではないでしょうか。本来であれば、その職業に就いたなら、その業種の展望性や方向性を常に描いていないといけないのではないでしょうか。
 自分の中に一つの芯のような「理念」を持ち、この理念には必ず企業と共に地域社会の繁栄を込めて、そこに技術革新を当てはめ、世の中の流れを見つめ直してみてはいかがでしょうか。そうすると案外流れに乗ることが出来るかもしれませんよ。