職業の選択

                                                    平成22年6月25日

 

子供達に将来の夢を尋ねると、将来の職業について話をしてくれます。子供達にとって「夢」とは、自分の働いている姿を思い浮かべるようです。ではなぜ、人は働かなければいけないのでしょうか。日本の憲法には、「勤労の義務」というものがあります。日本人として日本で暮らすには、果たさなければならない一つが勤労のようです。
 また、家業を代々継がれる方がみえます。生まれた家によって、その人の職業が決まる仕組みを、世界中の国で長い間採用してきました。日本でも同じように、生まれた家で職業が決められていた事は、皆さんもご存じの事でしょう。だからといって、その職業にこだわることなく職業は選択できますから、家業に縛られることも無いのです。ではいったい私達は何に押されて仕事をしているのでしょうか。

 

 エジプトにあるピラミッドは奴隷によって作られたわけではないようです。その昔、エジプトを支配していた王族が、たくさんの奴隷達を使い自分達の権力を将来に向かって誇示するために作られたと思っていました。しかし、これが全く違っていたようです。私はピラミッドを直に見た事はありませんが、写真で見る限り非常に丁寧に作られている事は分かります。これはピラミッド建設には、非常に高い建築技術者でなければ作れない事、また建設に関する労働者のチーム編成や作業記録が、文字で残っているそうです。このことから、専門的な知識を持った技術者が居たことも間違いないと言われています。つまり、奴隷として使われている人間が、いやいや作ったようなものでは無く、職人が自分達の持てる技術を最大限に発揮して作られたものだと言われているようです。支配者である王族は、国民に生き甲斐を与えることにより、その国を支配していたようです。
 
 現在、皆さんがされている仕事は、自分が望んだ仕事かどうか分かりませんが、自分で歩んで来た道の中に、なぜその職業に就いたのかが現れています。そのため、今やっている仕事は自分の歩んできた道の周りにいる方々によって与えられている仕事であって、自分一人の力で切り開いて来たわけでは無いことを理解しておかなければなりません。名人と呼ばれる方が必ず言われる事は「死ぬまで努力し自分を研いていく事が必要です」と答えます。天から与えられた物は、能力だけではなく、こうして働く場も与えられて初めて自分が生かされている事に気がつくのでしょう。
 仕事というものは、いやいややるものではなく、自分達が気づき上げた専門知識を発揮して、やりがいをもって行っていくものなのです。どんなに沢山の仕事をこなし、人の役に立ったとしても、それが必ずしもお金に比例するわけではない事も現実です。職業に対する質は、決して金額で評価が出来るものではないからです。