判断材料
                                                            平成23年12月25日

 現代の日本では、色々な争い事は最終的に裁判所で解決をすることになっています。企業経営にとって、お客様や仕入先などとのトラブルは避けては通れない出来事ですから、こうしたトラブルを未然に防止するため、又は、裁判となった場合には適切に処理をしていただくためにも、常日頃から証拠を残すようにしておかなければなりません。裁判官は神様ではありませんので、気持ちを感じてはいただけますが、結果的に物的な証拠を重視するのも現実です。

 裁判にしても、企業経営にしても、「良い」「悪い」を判断するのにどうしても自らの過去の経験が大きく影響を及ぼすことになります。また、現代社会においては、ラジオ、テレビ、インターネットなど様々な情報を集める器機が安価で手に入れることが出来るようになりましたので、非常に簡単に判断材料を手に入れる事が出来るようになりました。しかし、結果として、経営者は普段から様々な情報に耳を傾け、収集する習慣をつけなければならなくなり、「即断即決」が求められるようになったと言われています。まさに、2000年の流行語大賞となった「IT革命」による物だと言えます。情報機器の発達によりにより「時代の流れが速い」と言われるようになってしまったようです。
 
 しかし、本当に時代の流れが早くなったのでしょうか?
 時代の流れの速さとは、人の内面的な変革をいい、決して外部からの情報の速さではありません。今の日本の指導者のうち、戦前の教育の影響をうけている方々からすれば、いわゆる「普通」と言う考え方が、戦後の教育を受けている中堅社員や若手社員とそれぞれ違うのですから、心の内が理解できないのは当然の事です。その為におこる意見の食い違いが現在の経済活動に影響を与えているのです。ですから、「不景気」「時代の流れが速い」と説明しても、具体的な解決策が出てくることはなく、根本的な面で考え方が違うのですから、簡単には次世代に交代が出来ないでいるのが現状なのです。

 そこで、企業を取り巻く全ての方々には、会社を経営しているとは会社を自分が持っていると考えるのではなく、常に次の世代から会社を預かっていると考えなければなりません。これは、自分で始めた会社であっても同じ事です。経営判断をする時は、最終的には次の世代に送られていく物として、いったいどうしたら良い物を送ることが出来るのかを考えなければなりません。これを怠れば、現在繁栄しても、いつか滅んでいくこととなるのは歴史的に証明がされているのです。
 
 「預かった物をより良くして返す」経営者として、また親として次の世代へ何をどのようにして返すのか考え、そして実行をしていかなければなりません。これは、今の時代を生きる私達の使命なのでしょう。