教えすぎない教育
平成23年6月25日
米国プロ野球界のロサンゼルス・ドジャースのコーチ用テキストには、第1項目に「教えすぎるな」と記されているそうです。
私が講師として通っている株式会社TACでは、受講生のために親切に教えるように言われています。その為、講師の中にはテキストの使い方からノートの取り方まで教えるようです。小学校から大学まで16年間学生をしてきた方々に、税法の勉強の他にノートの取り方まで教えるのですから、時間がかかる訳です。
岡崎商工会議所青年部では、毎年小学6年生を対象に、起業家育成事業を開催しています。この起業家育成事業は「ジュニア・エコノミー・カレッジ」と名付けられ、子ども達だけで、架空の会社を設立し、商売をし、その決算を集計して報告をするのです。子ども達が「自分で問題点を見つけ、考え、そして答えを出す。」この事を目的としています。この事業は愛知県教育委員会にも認められ、教育事業として開催をしています。
商売には、正解がないものですから、子ども達から質問が来ても、「どうしたらよいと思う」と質問を質問で返す事になります。それは、大人達が答えを知っている訳では無いものですし、自分たちで答えを見つける事が、とても大切なことだからです。そしてこれを子ども達に言葉で教えるのではなく、この事業の中で気づいてもらうことが最大の目的ですから、運営をして行く人達はかなりの勉強をすることになります。
人に物事を教えるときに私達は教えすぎていることが多いようです。教えると子ども達は早く理解をし、間違いをすることは減ります。けれど、間違いと知らずに通り過ぎていってしまったことで、早く忘れてしまう事も多いようです。「失敗は成功の元」とあるように、失敗から導き出される答えこそが、本当の答えなのであり、失敗無き成功では、成功では無いようです。商売をしていれば、必ず答えを出すことの出来ない問題が起こります。こうしたときに、自ら答えを見つけ出し、乗り越えていかなければならない、これをするには、マニュアル化されたシステムの中に身を置いている人では、見つけることが出来ないことでしょう。
ジュニア・エコノミー・カレッジは起業家を育てるための教育事業ではありません。子ども達に商売を通じて実のある社会勉強をしてもらうためにあるのです。もしかしたら教育ではなく育育なのかもしれません。今年も、7月30日から事業を開始し、11月6日の岡崎市民祭りにて「販売実践」をします。子ども達がどんなことで悩み、そして、その答えとしてどんなものを販売をするのかご興味のある方は、是非、11月6日の岡崎市民祭りにお越しください。
ジュニア・エコノミー・カレッジでは大人達に負けないアイデアがそこにはあります。そして、この事業から子ども達とともに私も何かを見つけて、未来につなげて行きたいと思っています。