和を以て貴しとなす
                                         平成23年4月25日
                                                                               
 日本の料理のことを「和食」といいますが、なぜ和食なんでしょうか。
「和」という字にはどんな意味があると思いますか。
・丸い
・角がない状態
・人と人とが助け合っている状態
・皆がわがままを言わず、少しずつ我慢している状態

こんなイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。

 日本で初めて仏教を正確に理解をした人物は「聖徳太子」と言われていますが、聖徳太子が記した十七の憲法の最初には「和を以て貴しとなす」としています。
 「和を以て貴しとなす」とは、安定した生活をしていくには、お互いにわがままを言わず、仲良くすることは勿論のこと、それぞれが最高の知恵を出し合って困難に立ち向かう事が最も大切なことであると意味しているそうです。 
 「和」とは、もっと積極的な意味を持っていたようです。

 私達は、孤立して生きていくことは出来ず、多くの人達の力を借りてはじめて生活を維持することが出来ます。野菜を食べるには、野菜を作る人、運ぶ人、選ぶ人、そして料理をする人と、たくさんの人の手から手へとつながっていって、初めて食べることが出来ます。どんなに多くのお金を持っていたとしても、八百屋さんが売ってくれなくては、または料理屋さんが作ってくれなかったとしたら、食べることは出来ないのです。お金を払う人、もらう人との関係は、どこか上下関係に思う人がいますが、全くの間違いです。
 また、同業者だからといって遠慮し合って仕事をしていては何の成長もすることも出来ません。それぞれが、それぞれに与えられた使命を、最大限努力し良い意味で競争し合って仕事に励むことが、常に必要な事なのです。

 日本ではどこへ行っても色々な料理が楽しめます。日本人は、日本料理にこだわって生活をしているわけではありません。どこの国の料理でも「うまい」と思えば、これを受け入れます。そして、海外の料理を日本人の口に合うように工夫をしてきます。これが和食であり、和の精神なのです。
 こうした和の精神が日本を発展させ、世界からも愛される国となっているのでしょう。