理念=戦略

                                                                平成24年12月25日
 経営者は企業に理念を吹き込む責任があります。理念とは「根底にある根本的な考え方」を言いますが、これは経営をする上で最も大切なことです。ですから決してこれをバカにしてはなりません。 しかし、理念は「不易流行」でいう不易であって、企業が社会貢献を全うするために掲げる不変的なものであり、これは様々な企業においても根本はそれほど変わらない事が多いはずです。そのため掲げることはそれほど難しい事ではありません。しかし問題はこの理念がなかなか企業に浸透しないのです。理念を企業の中に確立させる事は、大変難しい事です。  ではどの様にして確立するかですが。企業の理念を確立するには戦略が必要です。戦略とは「経済的に疲弊する戦を回避しながら、それでも様々な知恵によって戦に勝利する事」でありますから、企業が10社有ったら、10社すべて違う。ですから戦略は外部の人間任せに作らせますと、全く見当違いの物を作りかねない。つまり、自社の環境と、自社の企業について熟知した人間が、掲げた理念に基づき戦略を作成し、これを実行していく事で企業経営に一貫性が出てくるのです。
 熊本県の大畑誠也教授が高等学校の校長先生だったとき、社会に役立つ人材をつくるために「夢をもった子供たちに育てる」と理念を掲げました。そして、どのようにして高校生に夢を持たせるかを考えて実行に移した事が、1.大きな声の挨拶 2.朝食を食べる 3.本を読む 4.人の話を聞く(メモを取りながら)としたのです。これを徹底的に実行に移し、何度も何度も統計を取り、高等学校の改善を成し遂げたのです。これが戦略なのです。理念を掲げても、これを実行する内容について考えがまとまっていないと、具体的に実行するには難しく、挙げ句の果てには理念が飾りとして有るだけになってしまうのです。しかし、戦略が有ると違います。戦略は理念を目標に、これを達成するための具体的な方法論でありますから、決してお粗末にすることは出来ません。これが理念と戦略なのです。
 理念無き経営は、一時は金銭的な成功を収めるかもしれませんが、一種の独裁でカリスマ的な経営者によってのみ出来る事であり、決して長く続ける事は出来ないでしょう。しかし、戦略無き経営は、理念があってもそれが機能せず忘れ去られ、それぞれが全く違った動きを始め、これも企業として長くは続かないでしょう。理念と戦略はどちらかを重視する様な物では無く、理念有っての戦略であり、また戦略有っての理念なのです。 新しい年を迎えようとしています。新たな目標「理念」を掲げ そして、これを達成するための「戦略」を作成して、次の世代に堂々とお返しできるような社会を育てる為に理念=戦略を実行しましょう。