まずは本から学ぶ
平成24年3月25日
私は本を読むことが嫌いでした。さらに作文を書くことはもっと嫌いでした。現在でも漢字は大の苦手です。
漢字は中国で発明されたのですが、中国で漢字が使われるようになったのは、儀式の為に使われたのが始まりだと言われているそうです。その頃に文字を使う人間は、かなり限られた人だけでしたが、文字を利用して、より多くの穀物を効率よく作付けして収穫するには、いつ種をまき、手入れをしたらよいのかを記録として残し、これを伝えていくことが必要だと考えたのです。そこで、農家の方に文字を使うことを教え、より効率的な農業の繁栄がもたらされていったのです。また、神事の折に使われていた「十二支」は、現在のように動物を表すものでは無かったのですが、農民に分かりやすく説明するために、動物に置き換えて説明をしました。そしてこれが現在の日本にも伝わったそうです。「子・丑・・・・・。」が変わった漢字が使われているのはその為です。
文字による記録が大切であるとする中国では、2000年以上も前の記録が数多く残され、現在でも、この中国古典が多くの方に読まれていることは、ご承知の通りです。
そして、江戸時代では、こうして多く残された中国の古典を勉強し身につけた人が、すばらしい人とされ、皆から尊敬されたのです。こうした中国の古典から学んだ事を広めるために書かれた本が数多くあったと思いますが、その中でも、日本でもっとも多くの方に読まれた本として、「学問のすすめ」があります。明治5年2月に初編が誕生した書物で、この頃の日本の人口が、約3500万人、このときに発売された数が100万冊だったそうです。さらに紙が貴重な時代でしたから、一冊の本が何人もの方々で回し読みをしたと考えると、ほとんどの日本人の目に触れていたことが分かります。「学問のすすめ」は漫画でもなければ、小説でもない。いわゆる哲学書です。こうした本を読んで現在の日本が築きあげられたのです。
本は書いた人の経験や、時間をかけて研究してきた成果が、読むことで簡単に手に入れることの出来るすばらしい物です。伝える技術が優れてきた現在においても、紙と言う媒体が変わるだけで、本に変わる物はありません。図書館では何千冊もの本が無料で借りることが出来、またインターネットの世界では無限に本が読めるようになっているようです。本が嫌いだった私が、多少でも本を読もうと思うようになり、また勉強をしようと思うのも、本から得られる情報は、心豊かにしてくれることが多いからなのです。本屋さんで買った本が、私の本棚にはまだ沢山読めずに眠っています。これらの本達から、また新しい発見があるかと思うと、「私も本が好きになったんだな」と感じずにはいられません。