基本の徹底
平成26年10月25日
私が税理士を目指して勉強をはじめた頃、色々な税理士の先生から「基本を大切にしなさい」と言われました。しかし、税理士の基本とは何なのか分からずに学んでいたことが思い出されます。
物事には必ず基本があり、基本を知らずに理解しようとしますと、それは独りよがりの物の見方となり、だれも相手にしてくれないものです。
現代社会の教育は、理解→行動→結果→反省 と言った一連の流れに沿って教えられているため、何か行動を起こす時も先に考えることから始めようとします。この形は決して間違いではありませんが、最善の方法でもないことを知っているでしょうか。
自分の中にある知識と経験をもとに考えを巡らせても、それは今までの殻の中での考えであり、新たな発展や発見には至らないということだからです。
そこで、昔から守破離という教えがあります。
守・・・基本を徹底的の身につける
破・・・基本を捨てる。
離・・・自分の考えを持つ。
訳がわからなくても、理解していなくても良いから、とりあえず行動をしてみろ。基本を体に叩き込め。体が基本を覚えた時に、後から理解がついてくる。もしかしたら、自分の考えを捨てる程の修練を積むことが、基本を学ぶと言うことかもしれません。
そして、その経験値を持って、その基本を壊してみる。壊してみると言っても、一度叩き込まれた基本は失う事はありませんから、結果として様々な角度から基本を見つめ直すこととなり、基本の大切さが分かり、さらに体に叩き込まれる。
こうして出来た揺るぎない自分が、世の中の変化に合わせて、世の中にどう役に立つのか考え、自らも適応していく。基本が大切だからと言って、その基本を無理矢理押しつけるのではなく、世の中を生きて行くには変化に適応できて始めて学んできたことが活かされ、さらには、次の世代のための新たなる世界を切り開く事が出来るものだと言っているのです。
現代社会では、企業はもとより、M&Aなど、ノウハウ(技術)は買う時代となってしまいました。大きな資本がノウハウを手に入れる材料となっているのです。ノウハウは、身につけるのではなく、買った方が安いと思っている人が増え始めているのです。お金で得たノウハウでは、時代の変化に適応することも難しく、ましてや新たな世界を切り開くことは出来ないでしょう。
基本の徹底とは、学んだ人だけが持つ事の出来る、最高の価値を持った財産となるのでしょう。