指導者としての基礎条件
平成27年7月25日
アメリカのイリノイ大学のジョーンズ教授は、次の4つの事が指導者には必要だと言っています。
1.仲間の顔を見た瞬間に、相手の額の後ろにいま何があるか、が直感的に判ること
2.自己中心的発想法から抜け出していられること。
3.人間の集団に対して、正しい方向を与えられること。
4.イエスかノーを、はっきりいえること。
第1の直感力を働かせるには、まず土壌となる基礎知識を蓄え、そして頭を柔らかくしておく必要があります。直感力というものは、何も根拠の無い状態のヒラメキではなく、その下地となる知識であり、考え方がある状態で働くものを言います。ですから、この直感力を養うためには、本を読み人の話を聞いて情報を集め、人間力を高めておく必要があるのです。
第2は自分だけの狭い考えが最高であると勘違いをしてはいけないと言っています。国作りにおいても、一人の独裁者が立ち振る舞った国作りでは、長く太平の世を続ける事が出来ない事は歴史を見てもはっきりしています。良き指導者はその傍らに、ときには言いにくいところまであえて言ってくれる人を側近に置き、常に人の意見を聴く事を大切にしています。上司からの言葉を大切にする事はもちろんですが、年齢などが若い目下の方からの言葉も大切にする必要があるのです。
第3は正しい方向を見る事が必要だと言っています。正しい方向とは、自分、近しい人又は働いている企業が良ければそれで良いわけではありません。常に世の中にとって正しいものかを見極める必要があると言っています。また、法律を守る、最近ではコンプライアンスと言っていますが、法律を守ってさえいれば良いわけではありません。法律を守ることは当たり前であり、常に世の中に目線を置き、善悪を見極める必要があるのです。つまりは正義の心を持つ事が必要だと言っているのです。
第4は、最終判断は、指導者が常に行うことが必要だと言っています。最近、フェイスブックに掲載されていたトヨタの経営に関する記事の中に「豊田社長は決裁のタイミングのわずかな遅れが、重大な交渉に影響を及ぼすため、決断は3秒以内で行うという独自ルールを持っている」と載っていました。私にはとうていまねすることは出来ませんが、最終判断は指導者が絶対にしなければいけませんし、その責任も持たなければなりません。
上記の4つの条件を常日頃から出来るようにする事はとても大変なことです。しかし、少しずつ出来るようにして行くならば出来る事があるはずです。まずは、天才的な指導者の全てをまねするのではなく、自分に出来る事から始め、身の丈に合った経営をする事も大切な事です。
企業の大きさに関係なく、指導者は、常にその後ろに大勢の人たちがいることを忘れてはなりませんし、この人達を導く責任があります。企業は経営者の器以上に成長しないのですから、まずしなければならないことは、経営者が指導者としての人間力を高める事ではないでしょうか。